手洗い効果の検証で検出紙を使ったら手洗い後の方が菌数が増加した?
よく手を洗ったのに、洗う前より細菌数が増えた??
これは一体どういうこと
食品の製造、加工、調理に実際従事している方から時々
寄せられる疑問です、本当に手に付いた細菌は厄介者です。
では、このような現象は一般に次のように説明されます。
確認したいのは、手洗いと言ってもその要求される清浄度合で
3つのカテゴリーに区分される。
1:日常的手洗い
一般家庭における流水と石けんによる目に見える汚れの除去。
2:衛生的手洗い
見た目の汚れを除去した上で、外部からの一時付着微生物の除去。
3:完全な手洗い
最高レベルの清浄度を要求される場面での手洗い
(手術室、無菌室など)
☟
一般の食品製造、加工、調理現場で要求される手洗いレベルは
2の衛生的手洗いであります。
そこで、衛生的手洗いについて
図 ヒトの皮膚断面の構造(食の安全より抜粋)
このように、ヒトの皮膚層には、角質層上部に常在細菌が叢を作って
生息している、多くは表皮ブドウ球菌、ミクロコッカスといった
無害菌。
その上の層に、通過(一時付着)細菌叢が形成される、この通過細菌は
大腸菌、黄色ブドウ球菌、ノロウィルスといった、食中毒を起こす
有害菌が多い。
そこで衛生的手洗いによって、通過(一時付着)細菌を完全に
洗い流すのがこの目的となる。
しかしながら、目的は果たせても、その下層の常在菌が表面に出て
それを、検査することで、見かけ上細菌が増えたという状況を意味
しています。
対策
すすぎの重要性 一回目に石けんで手を洗えば、通過細菌は石けんの泡
といっしょになっているので、手洗い効果は次のすすぎが重要になる.
2.ペーパータオルでふき取る ペーパータオルでよく手の水分を吸着させ
ふき取ることで、付着した細菌やウイルスを更に減少させ、アルコール
による手洗い製剤を使うことで、細菌やウイルスは検出限界まで除去
することが可能になります。
ブドウ球菌用検出紙が使用前に変色してます、このまま使っても大丈夫?
ブドウ球菌検出紙では、内容成分の一部と製品の最終滅菌段階を経て、保存中に色調の経時的変化が生じることがございます。その色調の変化の度合いによる検出紙の反応感度については、以下の画像で示す通り、概ね検査結果に深刻なダメージを与えるものではございません、従って以下に示した色調変化を目安として、安心してご使用いただければ幸いです。
左:色調変化なし
中:軽度の変色
右:中程度の変色
以上の3パターンの検出紙を使い手、鼻腔粘膜のふき取り検査の結果
左:色調変化なし
中:軽度の変色
右:中程度の変色
検出紙が使用前に全体的にピンク色になってます、使えるんですか?
大腸菌群検出紙でコロニー周囲がにじんだようになる?
上のXタイプ大腸菌群検出紙のうち、左の1枚に、にじんだコロニーが2つ確認できると思います。また下の大腸菌群検出紙でもコロニーの周囲に拡散したような、にじんだ部分を確認できるかと思います。
このように、比較的はっきりしたコロニーの周囲に発生した、にじみは、菌の運動性のよるものです。同じ大腸菌群でも運動性という性質を有するものと有しないものがあり、有する種類の大腸菌群がこのように、拡散しようとします。このまま放置すれば、やがて拡散が検出紙全体に広がり判定しにくくなりますので、必ず、18~24時間で判定をお願い致します。E.coliなど運動性が比較的強いものです。
上のXタイプ大腸菌群の検出紙に紫外線を照射したものですが、拡散しようとしているコロニーは蛍光発色を示していますので、E.coliと判定できます。左で蛍光を発しない大腸菌群はE.coliではなく、大腸菌群の一種と判定されます。
ブドウ球菌検出紙と公定法(マンニット食塩培地)の相関について
一般細菌検出紙の菌数の目安を知りたい
一般細菌検出紙のコロニー数がそのまま検査対象の菌実数ではなく、系数を乗じた数を大よその菌数として算定致します。その係数は食品全般は×30 手、指、器具、器材などのふき取りは×40,飲料水、井戸水、プール水、浴場水等は×1
一般細菌検出紙では主にどういう菌を検査できるんですか
食品中に含まれる雑菌を一般生菌数として検出するための検出紙です。一般生菌数はその食品や製造工程における衛生的な指標とされ、異常に多い菌数はその食品の変敗や食中毒予防の重要なシグナルとなります。一般細菌検出紙はT.T.Cの還元によって生じる赤色反応により菌を間接的に検出します。従って、T.T.Cを還元する能力を有する菌が反応します。T.T.Cの還元能を持つ菌大腸菌および大腸菌群、腸内細菌科の菌(Proteus,Serratia,Salmonella,Hafnia等)D群レンサ球菌、ブドウ糖非発酵性菌(Acinetobacter,Flabobacterium,Aeromonas,※Pseudomonas)※Pseudomonasは菌種により反応が微弱のものがあります
一般生菌数の大よその基準は製造時、加熱処理をする食品は 1×10⁵から1×10⁶個/g,ml製造時、加熱処理がなく、食べる前に加熱調理する食品は 1×10⁶個/g,mlを超えない菌数が基準値となっている場合が多いです。
検出紙による検査法のメリットはありますか?
公定法は、法律に基づく検査手法で、検出紙による検査はそのような検査設備等の経済的制約を受けやすい施設においても、誰でも簡易に衛生管理ができるようにしたものです。
公定法との関連性は?
例えば検出紙による方法で、大腸菌群の検査の場合、公定法のデソ寒天培地を使用した場合と、定性的結果は極めて一致していますが、両法のメカニズムはまったく異なり、あくまでもスクリーニングとして有用であると言えます。
1.大腸菌群およびX-タイプ大腸菌群検出紙と公定法との対比
2.一般細菌検出紙と公定法の対比
大腸菌群の反応に濃淡がある場合、菌の活性度の違いが考えられ、活性度が弱い菌であるほど、うすく、ぼんやりした反応になりやすいです。検出紙全体が赤色化しているのですがどういう結果なのでしょうか?
検査結果の解釈について 大腸菌群の反応に大小ある場合、菌の細胞自体の活性度の違いで、このように反応に大小が生じます。この場合の解釈としては、菌が多く存在して菌のスポット同士が重なり合って、全体が赤色化した場合と、まったく逆に、上にも示した、活性度の弱い菌の反応が広がった場合もあります。
しかしながら、菌量が多い場合は、はっきりしたスポットの中心に核がみられ、基本的には算定可能ですが、活性度の弱った菌による場合には、核がみられずに全体が赤色化することがあります。